スタンドアローンのハードウェアにおけるデータの取得と活用を実現

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社名 株式会社デルタツーリング
業種 製造業
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💡IoTビジネス開発 💡データ可視化 💡遠隔監視 💡ベンチャー共創 💡業務効率化 💡センサーメーカー

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  • 実証実験において搭乗体験のデータを取得し、PiiMoの新たなビジネスモデル開発に役立てることが課題だった。
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  • 参加者がコンテンツに対してどのような反応を示したかを具体的に可視化することが可能になった。
  • PiiMoのエラー発生時に直前の操作や走行パターンが可視化でき、分析が簡単になった。
  • 遠隔からでもリアルタイムにデータを確認できるため、リソースの削減や効率的な実証実験の実施が可能となった。

創立31年目を迎えるデルタツーリング様は、自動車用部品の生産設備や治具、各種プレス用金型を開発・生産・販売しており、また自社ブランド「Mu-Len(ミューレン)」の開発・販売を行っている開発型の企業です。今回は、自社ブランド「Mu-Len」の事業推進を担当されている塚本様にお話を伺いました。

Mu-Lenは特殊な三次元立体織物を使った寝具類や自動車アフターマーケット用シートの商品を取り扱っています。一見、薄くて硬いクッション材である「3Dネット」は、長時間座っていても非常に疲れにくい特殊な三次元立体織物です。3Dネットだけでも十分販売していけるものの、これを応用して製品に生かしたいという思いから、自社開発製品に着手したそうです。

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ドライバーの安全補助装置 “スリープバスター”


MODE MOBILITY CLOUDで標準対応しているスリープバスター(Sleep Buster)はSUZUKI株式会社様のプロジェクトのもと、デルタツーリング様との共同開発でシステム連携できるようになった非装着型の居眠り運転警告センサーです。

-スリープバスターについて教えてください。
スリープバスターは、人の心臓の情報を音として捉える計測装置です。一般的な計測装置は人体に付けないと計測が難しいですが、弊社商品は自動車で使うことを想定しているため、ドライバーには何も付けて頂かず、シートに取り付けるだけで計測できます。APW(体表脈波)センサーで捉えた心臓由来の音の情報を解析することで、運転中の集中やリラックス、疲労などを解析しお伝えする、ドライバーの安全補助装置です。

研究は2002年から開始し、当初はシートの評価を定量的に判断することを目的としていました。10年くらいすると、シートに座っている人の疲れや精神状態が分かるようになってきました。それを商品化したのがスリープバスターです。

睡眠や入眠といったデータを十数年間ずっと取って来たところに強みがあります。沢山の協力者様や実際に使っているお客様からフィードバックをもらい、データを取って解析しました。ずっと解析をしてきたアルゴリズムこそがスリープバスターの強みであり、データを取得する方法として様々な実証を行っております。

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難しかった専用端末からのデータ取得と一元化


スリープバスターは元々スタンドアローンで運用していたため、外部機器への出力に苦戦しました。外部機器への出力用USBを搭載していますが、これは元々保存データを取り出すためを想定したものでした。社内実験のデータ解析時も、他のデータ(加速度や速度、動画)を別々のところから寄せ集めなければならず、非常に面倒臭い作業を繰り返していたのがずっと悩みどころでした。

そういった弊社の悩みは、同時にお客様の悩みでもありました。お客様も「ドラレコやデジタコなど既存の機器に繋げないんだったらちょっと…」といって、スリープバスターの導入の機会損失にも繋がっていました。「ヒュータコ」というスリープバスターの閲覧ソフトも提供しましたが、お客様から既存のデジタコ、ドラレコや、その他のデータと合わせて一元的に管理したいという要望が多かったが、これまでの開発ではなかなか上手くいかず実現できませんでした。

ハードウェアの改造なしにクラウドへのデータ収集が可能に!


- MODEを導入したことによるメリットは何でしたか?
まずはデータをクラウドに簡単に送ることができた点です。あれだけうまく行かなかったクラウド連携がMODEさんといっしょにやることであっという間に実現しました。ハードウェアの改造は全くしておらず、ファームウェアの改造だけで対応可能でした。

これまでの開発では「USBドライバーが実装できない」「USB接続がネック」「基板を外に出して直接スロットに刺せないのか、刺せるように改造ができないのか」と言われてしまい…。

改造コストも非現実的な金額になっておりました。そうした中、MODEさんは「ゲートウェイにUSBドライバー、乗りますよ」の一言だけでどんどん進めてくれて、あれよあれよと出来上がったんです。弊社のファームウェアも仕様に合わせて少し改造するくらいで、そんなに手間もかからなかったです。

つぎにあらゆるデータをクラウドに一元管理できた点です。他のセンサー類と同期して計測し、MODE MOBILITY CLOUD上で全てのデータを一元的にで見ることができる。さらに新しいMODE MOBILITY CLOUDではヒートマップで直近データの解析ができるようになり、運転中の疲労が出やすい場所がひと目で分かるようになりました。数年来の悩み事が、MODE MOBILITY CLOUDを使うことで解決しました。本当にありがたいです。

- データの解析サイクルに変化はありましたか?
データ解析の頻度は上がりました。これまではモニター評価していただいていても数ヶ月に一回、保存データの回収を行い、被験者の過去の記憶を思い出しながら作業していましたが、曖昧な記憶だと解析できないので困っていました。今は連絡が来たらすぐにデータを引き揚げられます。いつでも好きなタイミングでできるようになりましたし、記憶も鮮明なので解析しやすくなりました。

Screenshot from Mobility Cloud-1

データ取得から活用までを一気に実現


- MODEを導入してから初めて気づいたMODEのメリットはありましたか?
弊社の場合、ハードウェアとデータの知見はありますが、ITの知見はありません。そうした知識が全くなくても、要望を言えばMODE MOBILITY CLOUD上にデータを上げてもらい、自分たちでデータを活用できるまで持っていってもらえたことで実験データやお客様のデータ解析に集中することができました。またインターネットにデータさえ上げれば、もうIoTだと思っていたのですが、MODEさんと一緒にやってみて、そうではなく、活用できるデータとして提供しなければ意味がないと気づきました。お客様のやりたかった事はこういう事だったのかと。

さらに、スリープバスターの機能の一つに「喝」といって、眠りに対し非常に強い警告を示す解析結果があります。データを解析し「この時間帯になると喝がよく出ているから注意した方が良いですよ」とお伝えします。しかし毎日のデータを並べて比較するしかなく、濃度的なものは出せなかったのでモヤモヤしていました。それがヒートマップだったら一発ですよね。

今後の展望


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左:販売中のSleep Busterコントローラー/右:開発中のAPWセンサー計測特化装置

現在は計測に特化させた装置を開発しています。

データを無線で飛ばし、スマートフォンなどでも受け取れるようにする予定です。MODEさんのゲートウェイにも繋げたり、スマートフォンからMODE MOBILITY CLOUDにデータをアップロードすることでよりたくさんのデータを集めることができると思います。

また、市場としても車両向けだけでなく、これからはオフィスや家、施設といった屋内も重要なターゲットだと考えています。特に今後は介護される人が増えると予想されるので、データを活用し介護施設さんの人的リソースの最適化に貢献したいです。リアルタイムで状況を確認し、必要なところに人的リソースを向けられるためのツールとして使って頂けるように開発していきたいです。