活用事例

センサメーカーとして多くのクラウドを見てきたからこそわかるMODEのすごさ

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社名 泰興物産株式会社
業種 製造業・メーカー
利用サービス MODE Sensor Cloud

事例の詳細

MODEを評価したポイント
  • リアルタイムデータベースの高い技術力
  • データを見る人と管理者側とでコンソールとSensor Cloudとが分けられている点
  • 多くのセンサを繋ぐことを前提に作ってあり、ゲートウェイでのスキャニングが優れている点
  • 手軽に接続ができて、ユーザー側でデバイスの追加・削除が簡単にできる点

泰興物産株式会社は顧客の「欲しいモノ、欲しいカタチ」を実現するためにプラスチック製品の企画から量産までを一貫して対応するプラスチック製品製造会社です。プラスチック射出成形を得意とし、自社で金型製造も行っていることから、試作の段階から量産を見据えた製品設計を行うことを強みとしています。

最近では東京工業高等専門学校・水戸研究室と共同開発した無給電で動作するIoT電流センサ 「C3lessセンサ」の製造、販売も行なっており、IoT分野にも力を入れています。

今回は泰興物産株式会社の丸田哲郎様にC3lessセンサ開発の裏側とMODE Sensor Cloudの使い心地についてうかがいました。

高齢者見守りセンサを工業用へ転用しブレイク

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C3lessセンサ

ー C3lessセンサ開発の背景について教えてください。

丸田様:私も含めて役員と社員の約7割が東京高専の卒業生ということもあり、東京高専とは強い結び付きがありました。C3lessセンサは元々、東京高専の水戸研究室で開発されたセンサで、コンセントの裏に仕込むことで離れた土地に住む高齢者などを「見守りすぎない見守り」をするためのものでした。しかし、家庭用よりもむしろ工業用として製品化した方が絶対にブレイクするだろうと思い、水戸先生にご協力いただいて今の製品の形となりました。

ー 御社はプラスチック製造がメインですが、元々電子回路分野の知見もあったのですか?

丸田様:いえ、全然ありませんでした(笑)C3lessセンサで初めて「電子回路ってこうやって設計するんだ」って手探りでやっていました。実はC3lessセンサを開発してしばらくは完全に外注生産していて、弊社ではケースを製造し、それに入れて販売するだけでした。ですが、開発から2年ほどたった頃からC3lessセンサがきっかけで、プラスチックケースの製造とともに基板もまるごと製造してほしいという依頼が増えてきたので、電子回路の世界にも参入しました。意外とプラスチック射出成型と電子回路の相性が良くて、シナジーが発揮できることを体感しています。

部品点数を少なくすることで他社製電力測定センサよりも安価に

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ー C3lessセンサはどんな場面で活用できますか?

丸田様電力って意外と示唆に富む情報だと思いますし、我々みたいな現場担当の人たちはやっぱり電力を気にされる方が多いと感じます。なので、製造現場や建設現場など電力を使う現場であれば場面を問わずに使っていただけます。

ー C3lessセンサの強みはどんな点でしょうか?

丸田様無給電で電力の計測や監視ができる点が一番の強みです。さらに、電池がなくて、他社製のセンサよりも部品点数が少ないので、結果的に安いという点も強みです。IoTはセンサをたくさん設置することで初めて価値が出るところがあるので、安くメンテナンスも不要という点は大きなメリットだと思います。他社製の電流センサは精度を出すために電池を使わないと動かないような仕様で、1台5万円くらいしてしまうのですが、実際にはもう少しラフに電力を監視したいという需要があります。そういう需要に対してC3lessセンサは半分以下の価格ですし、電池交換の手間もないのでご好評いただいています。

ー 設置工事も不要なので手軽に設置できますよね?

丸田様今までの電流センサだと精度を出すためにラインを1回止めて設置する必要がありましたが、C3lessセンサはラインを止める必要がなく、電気工事士などによる配線工事もいりません。
最新の設備には電流計測の機能がついている場合も多いですが、電力監視のために最新設備の導入を行うわけにも行きません。C3lessセンサは、こうした古い設備をIoT化できるという点でご好評頂いています。プラントの保全などを行うお客様ですと何十年も前の設備を使っていらっしゃるのですが、そういう場合でも一瞬でIoT化ができるという点で評価いただいています。他にも、C3lessセンサは設備の電力監視機能だけでは把握しきれないもっと細かい部分の監視を行うこともできます。

C3lessセンサの特長

  • 電源や配線が不要で設置ができる
  • 電池も使用していないためメンテナンスが不要
  • 部品数が少なく安価
  • 施工が容易で設置工事が不要
  • 計測頻度が5秒に1回と高頻度

利用場面

  • 製造現場や建設現場での機器稼働状況把握
  • 消費電流の大まかな監視
  • 電源基板として利用することで、他のセンサをエネルギーハーベスト化(例:温度センサ)

解決できる課題

  • 電源や配線を気にせずに設備の稼働状況を把握したい
  • 工事を行わずにセンサを設置したい

通信距離の課題はLoRaで解決

C3lessセンサは西松建設株式会社が開発したトンネル工事現場での水中ポンプの稼働状況を無人で監視するシステム『Newt(ニュート)※』で採用されています。
※本技術は「官民研究開発投資拡大プログラム」の予算を活用した国土交通省の令和3年度 「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」の試行技術です。本技術は西松建設(株)、(株) sMedio、MODE, Inc.、 菅機械工業(株)、泰興物産(株)の共同開発によるものです。

ー トンネル工事においてセンサ面での難しさはありましたか?

丸田様:通信距離には少し苦戦しました。元々はTWELITEと呼ばれる2.4GHz帯の通信規格を使っていました。2.4GHzの無線はWi-FiやBluetoothと同じ帯域ですが、やはり通信距離がどうしても短い点がネックでした。工事現場内は様々な機械が動いていて電波にとってはとても過酷な環境で、2.4GHzのTweliteでは中継機を使ってもなかなか通信距離を伸ばすことができませんでした。そこで、長距離伝送できることが特徴の920MHz帯のLoRaに変更することで解決できました。

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C3lessセンサ設置イメージ

はじめは胡散臭い会社だと思いました(笑)

ー ご自身でもAWSで環境を構築されていたとのことですが、クラウドの必要性を感じていたのですか?

丸田様:そうですね、やはりデータをクラウド上に蓄積できないとIoTの意味がないと考えていました。西松建設のプロジェクトで実際にAWSを少し触ってみたのですが、マンパワー的に厳しかったときに、西松建設の担当者からMODEをご紹介いただきました。

ー MODEに対してはどんな印象を持ちましたか?

丸田様:今だから言えますけど、はじめは「この会社ちょっと胡散臭いな」と思いました(笑)正直、聞いたことのない会社ですし、スタートアップだという点も少し怪しい雰囲気を感じていました。ですが、実際に技術的な説明を受けて信頼できる会社だなと思えました。特に、リアルタイムデータベースの技術力には驚かされました。実際に開発を行う段階でも、エンジニアから提示して頂いたドキュメントを読んで、すごくしっかりとした技術力を持っている会社だなと感じました。

多くのクラウドサービスを見てきたからこそわかるMODEのすごさ

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ー MODE Sensor Cloudの使い心地はいかがでしたか?

丸田様わかりやすいデザインで、力を入れて作られているのが伝わってくるようなUIでしたね。たまにどこに何があるのか分からないような製品もありますが、MODEのツールはわかりやすいように作り込まれているなと感じました。あと、データを見る人と管理者側とでSensor Cloudとコンソールとが分けられているのもいいなと思いました。

ー 他社サービスと比較してMODE Sensor Cloudのいい点はありますか?

丸田様たくさんのセンサを繋ぐことを前提に作ってあるので、ゲートウェイでのスキャニングの仕組みが優れているなと思いました。無線を使用していると、例えば他の部署の無線がたまたま飛んできてしまうことがあります。他の会社だとデータを受信したら意図しないセンサでもとりあえずクラウドに保存してしまい、後から付け合わせて要らないセンサを削除する、などの手間が必要になる場合があります。また、デジタルツインにこだわるあまり、登録作業に多大な手間がかかる製品も見てきました。そんな中で、MODEは手軽に接続ができて、ユーザー側でデバイスの追加・削除が簡単にできる点が使いやすいなと感じます。

ー 細かい部分を評価いただいて嬉しいです!

丸田様:細かいようで非常に重要な部分だと思います。デバイスの数が増えるに従って、細かい管理の手間も大きな負担となってしまいます。
センサを扱っていると、他社のクラウドサービス使っているお客様を見ることが多いのですが、私が知っているクラウドサービスの中では一番使いやすいと感じます。

ー MODE Sensor Cloudを使うことで御社のビジネス的なメリットはありますか?

丸田様センサだけの提案よりも管理画面でデータが閲覧できる状態をご覧いただくと反応が全然違いますね。「センサが動いています!」だけだと「へー」で終わってしまうんですが、その先の提案ができるのは大きいです。また、センサだけの提案だとお客様にクラウドを準備してもらう必要があるのですが、なかなか対応できるお客様はいらっしゃらないので試作で終わってしまうことも多いです。特定のセンサだけではなく、色々なセンサを繋ぎたいという要望を持っているお客様も多いので、MODEのクラウドとは相性がいいですね。

ー 今後IoT分野でどんなことをしようと考えていますか?

丸田様今後はセンサの入力ソースの多様化とセンシング対象の多様化を考えています。電流センサで得た電力を、例えば温度センサなどの他のセンサの電源として利用することができるのを確認しています。また「振動や衝撃」でも発電ができないか検討しています。製造設備は振動や定期的な衝撃が発生していることが多いので、その振動や衝撃を利用して発電しながらもセンシングができたら需要があるのではと考えています。実際、ある製薬会社では加速度センサモジュールで振動を計測することで設備の劣化状態がわかったという学会発表もあって、今後は「振動」がキーワードになると考えています。

本日は貴重なお話をありがとうございました!引き続きご支援やご協力をさせていただければと思います。
※掲載内容はインタビュー当時(2022年8月)のものです。