事例インタビュー

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Connected Design 株式会社
執行役員 ビジネスデザインユニット長

林田 丈裕

介護現場における入居者の転倒回避を目指す

原因解明のためのIoTを活用した実証実験

Connected Design 株式会社は、ケーブルテレビ事業を展開するイッツ・コミュニケーションズ株式会社とインターネットサービスを提供していたニフティ株式会社(現 富士通クラウドテクノロジーズ株式会社)、そして東京急行電鉄株式会社(現 東急株式会社)のジョイントベンチャーとして誕生しました。ホームオートメーションをはじめとした個人向けから店舗・オフィス・ホテルなどの法人向けのIoTサービス用ハードウェアおよびソフトウェアの企画開発を行っています。

Connected Design 株式会社とMODE, Inc.はエッジAIを提供される事業者様との3社で介護事業者向けのプロジェクトとして実証実験を予定しています。

実証実験の概要やこれまで経緯について、Connected Design 株式会社 執行役員 ビジネスデザインユニット長の林田様にお話を伺いました。

- Connected Design 株式会社の事業内容と林田様の業務内容を教えてください。

林田様:Connected Design では主にIoTを活用したソリューションの企画開発を行っています。自社でIoTプラットフォームを保有し、デバイスの調達、デバイスやサービスのプラットフォームへのつなぎ込み、接続デバイスを活用したソリューション、アプリケーションの企画開発を行なっております。その中で私は事業企画の部署とプロダクト開発の部署を見させていただいております。

介護の現場では入居者様の転倒回避が大きな課題

- なぜ介護現場でのIoT活用を考えたのでしょうか?

林田様:Connected Design は元々スマートホームからスタートして、主にスマートロックを活用したBtoB向けのサービスを展開していました。民泊向けのソリューションとしてマンションのように複数の部屋がある施設に対してIoTデバイスを設置し、統合的に管理できるソリューションを展開しています。この仕組み自体が民泊に限らず、他の施設でも活用できるだろうということで、グループ内に介護施設を運営する事業者があることもあり、介護の現場での活用を考えました。

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- 介護現場における課題について教えてください。

林田様:ヒアリングさせていただく中で、やはり人手不足は深刻な状況だと感じました。特に夜間などはスタッフの方が最少人数になるため、入居者様の見守りを効率化することが求められております。また、課題の中でもうひとつ大きいのが入居者様の転倒の問題で、いかに転倒を回避するかは介護の現場においては非常に大きな課題ということが見えてきました。高齢の方が転倒し骨折などをしてしまうと、まず歩くこと自体が難しくなり、結果として体力が落ちてしまい、より介護が必要な状況になってしまうそうです。

転倒はベッドからの離床が最もリスクのあるタイミングなのですが、そちらについてはすでにいくつものソリューションが存在しており、私たちは廊下などの共用の部分での転倒に対して、まずは原因分析と対策検討のためにカメラを使ったソリューションでの実験を検討しています。

- 原因分析と対策検討のためとはどのようなことでしょうか?

林田様:入居者様が真夜中に廊下を出歩かれて転倒されることがあるのですが、誰も見ていないので、なぜ転んでしまったのかが分からないケースが多いそうです。ご本人に聞いても明確には分からない場合も多く、どんな対策をすればいいのかが分からないという課題も見えてきました。そこでまず転倒の原因を把握し対策を検討するために、カメラで転倒の前後を記録することが必要だと考えました。

MODEはエンジニアの質が高かったことも決め手になりました

- MODEとの接続以前に困っていたことを教えてください。

林田様:Connected Design では、介護スタッフ様の業務軽減を目的としたドアセンサーやIPカメラでの見守りソリューションを提供しています。すでに設置されている自社のIPカメラを活用したエッジでの画像解析を実現したいと考えていましたが、それを実現するにはハードルがありました。

現状のソリューションはドアが開く様子を録画してスタッフに通知をするのですが、ドアの開閉前後の大体15秒間くらいをカメラのバッファとして蓄積して対応しています。しかし、高齢者の転倒の原因を探るためには、転倒前後10分間程度が必要です。現状のカメラデバイスではそれほど長いバッファを取ることは難しい状況でした。さらに将来的にはゲートウェイにエッジ解析の機能を持たせることを目指していたため、ハードウェアの制約を極力受けない形での実証実験を理想としていました。

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(左から壁付IPカメラとドア・窓センサー)

- パートナーとしてMODEを選んだ決め手を教えてください。

林田様:ひとつは、MODEであればFWのポータビリティが高いためハードウェアの制約を受けない形での実証実験が可能だったことと、もう一つはエンジニアの質が高かったことも決め手になりました。今回は別にAIの会社さんとも一緒にプロジェクトを進める中で、技術的に幅広くカバーできるエンジニアを求めていました。ローカルネットワークレイヤーからクラウドレイヤーまでカバーしなければならないなど、フルスタックのエンジニアの能力が必要でしたが、MODEのエンジニアであればそれが実現できそうだということで、協業のお願いをさせていただきました。

目指すのはIoTの力を使って暮らしのDXを実現すること

- 現在はコロナの問題もあり実証実験の実現には至っていませんが、今後MODEと取り組みたいことを教えてください。

林田様:私たちはどちらかというとコンシューマー寄りのプロジェクトが多いのですが、MODEはファクトリー向けなど大きい市場で取り組んでいると思います。MODEが持つビジネス向けの知見と合わせながら、一般向けのソリューション開発などに取り組んでいけたらと思います。

- 最後にConnected Design 株式会社が目指すビジョンを教えてください。

東急グループではCity as a Serviceとして街自体をサービス化していく構想を持っています。その中でConnected Design はリアルとデジタルが融合する仕組み作りのために、IoTやAIを活用し支援していく役割を担っています。これから益々バーチャルに主軸が置かれるようになる中で、リアルからデジタルだけではなく、デジタルからリアルに反映することも求められていきます。そこで私たちはIoTの力を使いながら、暮らしのDXの実現を目指していきます。

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引き続きご支援やご協力をさせていただければと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました!

※掲載内容は取材当時のものです。