一般車両の走行データで業種を超えた価値創造へ
〜走行車両の映像データ・振動データ活用の環境構築をわずか2週間で実現〜

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社名 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
業種 損害保険事業
利用サービス BizStack
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💡IoTビジネス開発 💡データ可視化 💡遠隔監視 💡ベンチャー共創 💡業務効率化 💡センサーメーカー

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  • 自社データアセットの新たな価値検証に向けた実証実験で、スピーディーにデータを収集する必要があった。
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  • 構築済みのMODE BizStackを利用することで、3ヶ月間の実証実験のうち2/3は収集データの分析・検討に充てることができたため、期待通りの実証結果を得ることが出来た。

今回は、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社(以下、あいおいニッセイ同和損保)が2022年にMODE BizStackを使用して、車両振動データの測定および振動発生要因の分類を目的とした実証実験を行った際のお話を伺いました。この実証実験では、商用車両の走行データと映像データを活用して、物流業界において道路面の劣化状況の把握に活用できるか検証することが目的でした。本記事では、保険商品のさらなる改善に向けた各種データの活用や、データを活用した新しい自社サービスの開発に携わるデジタルビジネスデザイン部 データソリューショングループ長の山田 武史様から、実証実験の詳細とMODE BizStackの魅力についてお話を伺いました。

実証実験を実施した経緯


あいおいニッセイ同和損保では運転中の危険挙動の発生状況(安全運転スコア)に応じて保険料が変動するテレマティクス自動車保険を国内でいち早く展開しており、この取組を通じて膨大な自動車走行データをお預かりしています。この走行データをアセットとして、さらなる安全安心な社会の実現に向け、幅広く活用することを考えていますが、ビジネスモデルの具体検討を進める上で、現在保有している一般車の走行データだけでは、深い仮説の検証が難しいという課題がありました。そのため、まずは課題仮説に基づき必要なデータをスピーディーに収集して分析できる環境があれば、リアルな実証実験を通じて仮説の妥当性を確かめることができると考えていました。

”縦揺れ”振動データの商用向け有用性の検証


当社で蓄積している自動車走行データのうち、”縦方向の加速度(縦揺れのデータ)”については未だ十分に活用できていないことから、このデータを活用できないかと考え、以下の2つの仮説を立てました。

・物流業界で、一般的に壊れると代替品確保が困難な物(美術品、骨董品、医薬品など)を輸送する際の走行ルートの検討材料として活用ができないか
・縦揺れが恒常的に発生する地点を映像データも活用することで振動要因を把握・分類し、道路面の異常を早期に検出できないか

特に、映像データを走行データと同期して収集することも、将来的なデータ活用ビジネスの幅を広げる上でのデータセットとして重要な実証実験のポイントでした。

MODE BizStackを活用した理由


IoTには、センサーの選定から同期方法、データの蓄積、整形といった多くの課題がありますが、データをクラウドに蓄積できるデータ基盤が既にあることがMODEの1番の魅力でした。実際に今回の実証実験では、約3ヶ月しかない状況の中、仮説を考えてセンサーを選定し、わずか2週間ほどでデータ収集ができる環境構築をしていただきました。その結果、実証実験としては十分な期間・量のデータ収集と収集したデータの分析までできました。私自身、前職では通信キャリアでIoTやロボティクスを活用した新規事業開発に携わった経験があるのですが、IoTはセンサーがあったとしてもデータ収集・蓄積、整形や同期まで非常に手間がかかることを痛感していましたので、非常に助かりました。もしMODE BizStackのようなデータ基盤を持っていないベンダーに依頼していたら、実証実験の環境構築だけで3ヶ月が終わっていたと思います。

走行時の”縦揺れ”データ × 映像データを収集、可視化


実証実験では、商用車を使用して車内に振動計測センサーとドライブレコーダー、データをクラウドに上げるためのゲートウェイを設置し、都内を満遍なく走行して振動データを収集しました。さらに、商用車から収集したデータから大きな縦揺れ反応があった箇所を、現地の確認もかねて、一般車両で再度走行をすることを繰り返しました。非常に地味な作業ですが、一般車両の走行データを活用した商用車の縦揺れ発生を予測できるかの検証が目的であったため、縦揺れ発生地点でのデータを重点的に収集し、スピーディーに分析していくことが重要でした。

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MODE BizStack 画面イメージ
走行位置をリアルタイムに可視化。映像と走行時の”縦揺れ”振動データを統合ダッシュボードとして表示

MODEの現場対応力


輸送への影響が大きい縦揺れの振動データを取得するためには、かなり細かいサイクルで振動発生状況を測定できる振動センサーを使う必要がありましたが、既存のセンサーでは実証中のバッテリーが持たないとか、ドライバーの邪魔にならないセンサーを取り付ける必要があるとか、また複数のデバイスを荷室や助手席などに取り付けて安定的にデータをクラウドに収集できる環境を構築するなど、そうした条件で使えるセンサーを見つけることが大変でした。ここもMODEさんに色々なセンサーを探していただき、センサーのバッテリーを大容量タイプにカスタマイズしていただくなど、正確なデータを安定して収集するための環境構築を現場対応含め支援いただきました。

実証実験を終えて


今回は都内に限った走行データ収集でしたが、縦揺れはさまざまな発生要因があることが分かりました。例えば、マンホール、橋の繋ぎ目、スピード制御の人工物(ハンプ)など、これをどのレベルで分類するか条件設定だけでもかなり大変なテーマですので、当初の仮説で立てた物流業界で商用化するためには、さらなる検討が必要だと考えています。一方で、自治体や建設コンサル企業向けに、路面劣化状況を基礎データとして提供し、インフラ整備の効率化に活用できる可能性を感じています。保険事業で収集したデータを他業種で活用できる好事例が生まれれば共助(CSV)の推進にもなりますし、業種を超えた社会的価値の創造につながるでしょう。

まとめ


あいおいニッセイ同和損保様からは、短期間で結果を出さなくてはならない実証実験において、MODE  BizStackを使うことで、走行車両の映像データ・振動データ活用の環境構築をわずか2週間で実現できたお話を伺いました。今後も走行データを活用したビジネス創出に取り組まれる中で、MODEもご支援をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

※掲載内容はインタビュー当時(2023年3月)のものです。